渋さあふれるインドの大学(インド経営大学/アーメダバード・インド)

こんにちは!現在滞在している南米では、暑くて半袖で外をふらついていたかと思えば雪山で凍えそうになったり海抜0mにいたかと思えば標高5000mで酸素の薄さにもだえたりと環境の振れ幅が大きすぎて体が困惑しております。(これが世界というものなのでしょうか……。)

今回は世界的建築家ルイスカーンによる大学をご紹介いたします!渋い開口、心を奪われるセクシーな光の陰影、思わず二度見してしまう不思議な壁面などなど。たっぷりとお楽しみ下さい!


今回ご紹介するインド経営大学の設計者は、エストニア生まれのアメリカの建築家、ルイスカーン。最後の巨匠と評されているほどの世界的な建築家です。

入口の看板

インド経営大学の場所はこちら↓


市内の他の建築を回りながらたどり着いた学校。入口で見学希望の旨を伝えると、まさかの見学できないとのこと!!!ここでチェンマイの学校見学時の記憶(過去記事はこちらをクリック→がよみがえってきました。このまま簡単には引き下がれないので、周囲を歩きながらあれこれとなんとか入れる口実を考えました。

意を決して2度目のトライ!(あれ、さっきの看守と違うぞ……。)と思っていたら中に通され、受付を済ませてなんなく入場。さっきのはなんだったのでしょうか……?(笑)

編集注)インド経営大学HP内問い合わせページによると、2018年8月1日からはキャンパス訪問の際に事前手続きが必要となり、訪問日等にも規定を設けているようです。訪問を希望される方はHPにて最新情報をご確認下さい。HPはこちら→

もらった案内図。ありがたい!

樹木を横目に敷地を歩いていくと、さっそく建物が見えてきました。

このレンガを使った外壁は、地元の職人を使い簡易な工法とするためにレンガ張りにしたとのことです。

構内にはATMや郵便局などが入っており便利そう。

建物の特徴として挙げられるのが、この大きく開けられた円形の開口。

日差しの強いグジャラード地方です。深い庇で直射日光を遮りつつも、明るさと風を建物内部に取り込みます。何より内側から見上げるこの景色がとても印象的できれいでした。

ぽっかりと切り取られた空と樹

また、この円形開口部の足元では開口部が額縁のように構内のシーンを切り取っていました。ここもまた良かったです。

他の建物では階をまたいで床の側面が見えている場所もありました。(よーくみるとその床にタオルが掛けてあり、ほっこりしました。)

または、床の側面にレンガが張られている所もあったり。

建物をつなぐアーチ状の通路。

高さが抑えられたアーチの中で、開口から入る直接光、その反射によってぼやーっと照らされる壁面、開口から離れたアーチ内の深い影。「光の建築家」と呼ばれるカーンのこだわりが見えた気がしました。


他には不思議な壁面がちらほらと。

こちらは妻側(建物短辺側の面)の壁。アーチ状の内部のレンガがここだけあとからはめられたような隙間がみられます。(ちょっとしたことですが赤いゴミ箱の横のゴミ箱が空中に浮いているようにみえますね。笑)

この壁は真ん中に開口があけられ、窓と設備の排気が設けられています。なんとなく左右のバランスが取れていないのは気のせいでしょうか……?


・宿泊施設

敷地内には校舎以外にも、生徒・職員の宿泊施設があります。

緑が多くて住み心地がよさそう。

壁にはこんな装飾もありました。


・クリケット場

敷地をぶらぶら歩いていたら見えてきた、野球場ならぬクリケット場。イギリス時代の名残が垣間見えました。


・カフェ・レストラン


■設備

・配管

給排水の竪管がひとまとめにされていました。

・電気

ここは配線を無理やり通したのか劣化したのか、開口周りの壁が崩れていました。


■経年劣化

築40年以上を経過しているため、所々で劣化箇所がみられました。

アーチ開口壁面の底の部分。深いひびが入りレンガが落ちそうになっていたり、その奥に写る内部の天井面ではコンクリート内部の鉄筋が腐食し、外部に露出していました。

また、開口と開口の間で垂直の壁との接続部分でもひび割れと鉄筋の露出が発生していました。

それもあってか、足場が架けられ外壁の補修が行われていました。継続的なメンテナンスにて建物が長く残ることを祈るばかりでした。

道を隔てた反対の敷地にある新校舎とは地下通路でつながっています。

地下通路のエレベーターホールの光がこれまたきれいでした。


・新校舎外観

新校舎はカーンの設計を踏襲しつつモダンな校舎となっていました。コンクリート打放し仕上げで、入口や開口が角度を振って設けてあります。


建物内の中廊下では、カーンの光の取り入れ方を意識されているように感じました。

ぽかーんと開いた大空間もあったり。

その中でも円形開口の横に置かれた机とイスの場所がお気に入りでした。壁にあけた開口が人の拠り所となり、それが開口を介して風景となっていました。

反対から見るとこんな感じです。

あとこれは気になったサイン表示。

これは写真だとわかりづらいのですが、上下で「8」のサイズが違っていて、下の方が長細くなっていました。意図したものなのかどうか……。気になります……。


名匠によって、建築の普遍的な要素である光や風が丁寧にデザインされた旧校舎と、それを踏襲しつつ現代に適応させた新校舎によるインドトップクラスの経営大学をご紹介致しました。このような素敵な建物で学べる環境が長く残り続けてほしいと強く感じました。

最後までお読みいただきありがとうございました。次回のオガ旅もお楽しみに!

株式会社翔設計、海外特派員のオガタでした!

今にも駆けだしそうなオブジェ。このような勢いで日々を駆け抜けたいものです。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA