九百年の風化、世界遺産アンコール遺跡群②~アンコールトム~

こんにちは!尾形雄樹です!
今回は前回に引き続き、アンコール遺跡群シリーズの第2弾、【アンコールトム】の紹介をしていきたいと思います。

ちなみに前回の記事で代々木にある【アンコール・ワット】をご紹介しましたが、お次の【アンコール・トム】は町田にあるそうです。

お近くの方はぜひ足を運んでみてください!


アンコールトムは12世紀末に建設された巨大な宗教都市です。1辺3kmの敷地の周囲には高さ8mの城壁にて囲われており、城壁には5つの城門が設けられています。

この敷地の中央にバイヨン(美しい塔の意)と呼ばれるヒンドゥー・仏教混交の寺院が配置されています。バイヨンは中央祀堂を中心に54もの塔がそびえ立ち、そのシルエットはまるで山脈のようです。

(クロマーマガジンWebsiteより転載)

今回は都市の中心にあるバイヨン寺院をご紹介します。

南側の建物に向かって進んでいくと、建物の周囲に立ち並んでいる柱だけの光景が見えます。

左端のグリーンの服のおばちゃんは草刈りをしています。

内部へと続く道

外壁にはレリーフが彫られています。部材ごとに積まれた石の上からよくこれを彫れたなーと驚きます。

この塔の特徴である四面塔。各塔には最大2mの大きな顔が4方向に彫られています。仏教における大変心が広い観音菩薩をモチーフにしているといわれています。その笑顔は「クメールのほほ笑み」と呼ばれているほどで、確かに心が広そうな顔しています。近づいて見上げると目が合います。

どこに顔があるのかわからないという方のために、一部分を拡大し印をつけてみました。

この他にも、いくつか顔が写っていますのでぜひ探してみて下さいね。


中に入ると周囲をかこむ回廊に入ります。薄暗く、一定の間隔で開口から光が入り込みます。

 

回廊の隙間からのぞく中央祀堂
遠目のツーショット

中央に行くのに急な階段を上がっていきます。

上がった先にはもはや小規模な山が!

 

オガタのお気に入りの顔。笑っているけど結構不気味な顔が多い中でこれは安心感がもてる顔でした。

顔!顔!顔!さてこの中に何個顔があるでしょうか?

ここにも顔


 

ある通路では一部石が崩れ、半壊している状態でした。

そのような箇所もあるため、随所で補強されていました。

開口への木材補強
石材への金具による補強

中央祀堂内へ進むと……。

内部から木材による補強がされていました。

下からだと石が積みあがって構成されているのがよくわかります。


ここでオガタのちょっと見るのが楽しくなるポイント

「 オ ガ ポ イ ! 」

今回はこちらです。

石積のアーチによる通路の屋根です。

これは「迫り出しアーチ(擬似アーチ)」と呼ばれる構造で、石材を少しずつずらしながら構成されています。

弓状にカーブをつくる「真性アーチ構造」と比べると内部に大空間が造れない構造であり、技術的には劣る構造となります。ですが、よーく見てみると石の大きさにばらつきがあったり、水平でなくがたつきがあるため、石に合わせた構成の仕方となっており現場での制作の労力が図りしれないと感じられました。訪れた際は少し立ち止まって石を観察してみて下さい。


ここには入り組んで先が見えない路地のような通路、時折見える塔の眺めと無数の塔がまるで城塞都市に入り込んだような好奇心が刺激されるワクワクがありました。また、細い回廊から広く抜ける外部空とのギャップがその効果を高めているのかもしれません。

54もの数があり、最大で40m以上の高さをもつ塔。

高さへの憧れや、かっこよさ、ワクワクする気持ちは800年前も今も変わらないのかもしれません。

山脈のような城塞のようなワクワクする宗教都市、アンコールトムでした!


最後までお読みいただきありがとうございました。アンコール遺跡群シリーズの最後は「タプローム」に迫ります。

次回のオガ旅もお楽しみに!

株式会社翔設計、海外特派員の尾形雄樹でした!

「クメールのほほ笑み」と「フクシマのあひる口」

 


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